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すると今度はヤンキー風な男が
「おいタケル、どこ行くんだよ」
と、ゆっくりと歩いてきた。流石に
「いや、多いって!! こんなに用件抱えてるんなら、ちゃんと皆に伝えないと駄目だって!!」
とタケルに怒鳴ってしまった。しかしそんなことは、不良にとってはお構いなしなようだ。今度はどんな内容なのか。
「お前、貸してた五万返せよ」
え?
「いま、持ち合わせなくて……」
「このタイミングで返さねぇとか、お前返す気無ぇだろ。あぁ?」
ここにきて、青春味ゼロでくる?
「悪い、サトシ、立替えといてくんない?」
は?
そのとき、電車の発車ベルが鳴った。タケルは
「次来たら絶対返すから! じゃ! 頼むな!!」
と強引に言い切ると、逃げるように電車に乗り込み、そのまま行ってしまった。
ホームには無関係の五人が取り残されていた。
「──付き合い考え直すか」
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