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エピローグ2
中学生の頃、彼女はイジメに遭っていた。
俺は見て見ぬ振りはできなかった。
俺は彼女を守った。何度も何度も。
するとイジメの標的はいつの間にか俺に向かっていた。
彼女に自分のせいでこうなったと知られたくないので頑張って耐えた。彼女の心の傷を考えればそれくらい容易いことだった。
彼女は俺と同じ進路に来た。恐らく俺に好意を持っているのだろう。そんな意識をしていると高校三年生の頃には彼女を好きになっていた。
大学三年生になった時、俺は彼女から告白された。即答してしまった。はい、と。
そのまま結婚に進み、彼女は第一子を出産した。
すると俺は仕事、彼女は家事、育児と厚い壁ができてしまった。
その内、解決しないとだと思った。
ある日、仕事から帰ると離婚を切り出された。
正直ショックだったが、彼女の言いたいこともよく分かるので条件付きで了承した。
俺は彼女に休みの日に会いにいった。
徒歩で十分の距離なので会うのが億劫になることはない、もし遠くても絶対にそんなことはないが。
彼女はある時、俺にストーカー被害を受けているかもしれないと言われた。俺はひどくその相手に怒り、彼女を見守ることにした。お陰で会社は大きな損害を被ったかもしれない。有給なのだから許してくれ。
それから一年後。
彼女の帰宅を見守っていると後ろから誰かが迫ってきていた。
俺は走って彼女を芝の上に突き落とした。その時、俺は彼女の髪の毛を引っこ抜いてしまった。痛くなかっただろうか。
彼女が駆け寄ってくる。俺は彼女が捕まって欲しくなくて、濡れ衣を着せられないように遠くへ逃げるように言った。
そんなことをしているうちに気を失った。
──さん!お父さん!お父さんっ!
誰かが俺を呼んでいる。恵、早く逃げてくれないか。頼むよ……最期のお願いだ。
「め……ぐみ──」ここを離れて──。
俺は最後まで言うことなく生涯を終えた。
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