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ある日、彼女が仕事に出かけるのを見計らって家に侵入した。どうせ殺害するつもりなのだから窓の一部を割って鍵を開けて入る。 不法侵入の目的は彼女が父を殺したという確証を得ることだった。無論、証拠隠滅している可能性もあるが。どうせ私の憎しみを増幅させるために、殺害に怖気付かないようにするためにするんだから。 まずはタンス等のものを隠せる場所から探した。大したものは入っていなかった。別に下着を見たって何を思うこともない。 冷蔵庫の中も探す。冷蔵庫の中は水のペットボトルが大量に入っていた。 和室に移る。 仏壇があった。そこには誰かの遺影があった。彼女の家族だろうか。 一応引き出しを開けてみる。 するとそこには私の父の写真があった。 しかしそこには彼女は映っていない。 ──これはストーカーの証拠? 私は私の都合の良いように解釈した。 しばらく探してから時計を見る。そろそろ店じまいになりそうだ。長いこと探したが他には何も見つからなかった。 私は包丁を掴んで彼女の家を出た。 そして彼女の帰宅ルートを逆走する。どこかで会うだろう。会うなら人気の少ないところが良い。 私はそう考えて街灯の少ないところで待ち伏せをすることにした。 少ししてコツコツとハイヒールを鳴らす音が聞こえてきた。彼女のお出ましだ。
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