大安吉日

1/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

大安吉日

 ある日、いつものように買い物に出かけた私は、ふとある場所の前で足を止めた。  そう、宝くじ売り場である。  一攫千金を求めて長い列ができている。  そういえば夫も熱心に買っているようなのだが、今まで末等より上が当たったと聞いたことはない。  けれど、新聞に発表された当選番号を確認しているときの彼は目を輝かせている。  果たして、宝くじはそんなに楽しいものなのだろうか。  そんな疑問を抱いた私は実際に体験すべく、列に並んだ。  売り場には、『本日大安』とか、『本日一粒万倍日』などと書かれたポップが掲げられている。  私のイメージでは、大安は縁起が良い日。  一粒万倍日は……よくわからないけれど、たぶん良い日なのだろう。  そうこうするうちに、私の番が来た。 「いらっしゃいませ。お決まりですか?」  売り場の女性が、愛想良く私に声をかけてくる。  窓口には、今売りだされている宝くじの見本が張り出されていた。  その中で、私はある物に目を留めた。  夫が買ってくるいわゆる普通の宝くじではなく、削るタイプのもの──どうやらスクラッチと言うらしい──だった。  アニメの絵柄の物が三種類。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!