先が見えない…

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先が見えない…

小さな学習塾を営んでいた。 冬になると風邪を引く子どもが多く、 どうしても、もらってしまう。 その冬も、 11月頃から咳が出ていた。 それでも、 熱が出る訳でもなく、 そのうち、 温かくなれば治る、と 思っていた。 ところが、 12月、初めて教室中に気分が悪くなり、嘔吐しそうになった。 スタッフの先生にお願いして、 2回ほど教室を休んだ。 ちょっと風邪を悪化させてしまったかな、位に考えていた。 確かに、受験生を数名抱えていて その年は、 少し無理をしていたのかも しれなかった。 本来は、 受験には対応してない塾なのだが、 在籍している以上そうも言ってられず、 自分のできる範囲で指導していた。 それでも、 ほとんどの受験生は、 秋頃には 受験対策専門の塾に移るため 辞めていたのだが、 1人だけ残っていた。 部活動に熱心な親御さんで、 本人も部活中心。 宿題を出しても 「時間なくてできなかった」 ということが多く、 受験生という自覚が、 親子で乏しく…困った。 とはいうものの、 不真面目とか 反抗的というわけでもない かわいい生徒だった。 教室を休まなければならない時は、 彼のことが、一番気になった。 年明け1月 教室に復帰したものの、 まだ風邪は抜けきっていなかった。 学校もインフルエンザが流行り 学級閉鎖もぼちぼち出ていて、 教室に来る生徒も少ないので、 早めに教室を閉めたり、 なんとかやりくりしていた。 まさか、 この後あんなことになるとも その時は思いもしなかった。
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