エピローグ

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 うっぷ。あれ? ここどこだ? あ、私の部屋だ。  カーテンの隙間から射し込む光で目覚めた。目が回る。頭もガンガン。  見るとベッドじゃなくて床でクッションを枕にして寝ていたらしい。  周りを見渡すと美緒先輩がベッドで寝ていた。おかしい。隣が自分の部屋なのに。もっとおかしいのは美緒先輩も私も下着姿だったこと。 「お……起きたわね。うっぷ」  よく見たら美緒先輩の目がうっすら開いていた。 「おはようございます……いくつか質問あるんですけどいいですか?」 「……二人とも下着なのは飲み過ぎてやらかしたから。そして今はお昼の十二時。さらに言うなら二日酔い。きっと菜花も」 「うえぇ……」  盛大に吐いた記憶が蘇ってくる。後で洗えるよう、ユニットバスへ張ったお湯に服を浸けているのも思い出した。  レンタカーの予約時間からはもう六時間も過ぎていた。しかもこんな状態じゃ運転もできやしない。それどころか歩くのも困難。 「また旅行に行き損ねた……!」  そのままうつ伏せで床を叩く私。 「まあ、人生そんなもんよ。ってか、今も旅行中じゃない。人生という旅路の真っ最中……うっぷ」 「そういうのいりませんよお。千葉県への旅行に行けなかったモヤモヤがようやくなくなったのに……!」 「まあまあ。次こそは連れて行ってあげるから。それこそ菜花ならいつでもどこでも旅立てるんでしょ? あたしにも教えてよ、妄想旅行のやり方」  お、それも悪くない。  ロードマップを前に目を閉じて瞑想する二人。お互いに好きなシチュエーションを盛り込んで妄想ドライブ。 「仕方ないですね……!」 「ちょろ過ぎ」 「いいんです。それじゃ早速買い出しですね。千葉への妄想旅行に必要なのは地図とメモ、ガイドマップに妄想力……あと汚した服もあるのでハイターと、お腹すいたので食べるものを……」 「おやつはミルフィーユね」 「なんでミルフィーユなんですか?」 「千葉を旅するから」  千葉? あー、千枚の葉っぱだからミルフィーユか。駄洒落じゃない。  でもいいな、それ。 「さ、妄想旅行で千葉を味わいましょ」 「先に言われた!」  笑いあう私たち。  大好きな先輩と一緒に過ごせる時間こそ、大切な時間の使い方かもしれないな。そう思いながら、私は二人でやる妄想旅行に心ときめかせた。  でもこれだけは言っておきたい。 「いつ本物の旅行に行けるの!?」  本当の旅行への私の旅路は始まったばかりだった。
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