居酒屋のアルバイト(笑)

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居酒屋のアルバイト(笑)

短いお話です。 私が学生の頃、1ヶ月も満たない程、短い期間働いたチェーン店の居酒屋でのお話です。 何回ほど出勤したか覚えてはいませんが、最後の方では仕事も慣れて、ビールなんかは、片手にジョッキ3杯程一度に持つ程に慣れていた様に記憶しています。 勤務も慣れてきて少しずつ難易度が増してきた時に1番やりたくない業務を振られたのです。 それは、あるカクテルをお客さんに出す事です。 今簡単な事だと思いませんでしたか? いいえ、簡単ではないんです…… それを何故やりたくないかというと、お客さんの目の前でシェイカーを振り、グラスに注ぐのです。 まだ若かった私は、とにかく恥ずかしくて、シェイカーを振るなんてリズム感のない私には難しいなと思っていたのです。 ですが、先輩が口で説明して、すぐに行ってこいと背中を押されました。 「優ちゃん、来て〜あの5番卓のお客さんにカクテルの注文入ったから、行ってきて。」 「えっ、先輩、私まだシェイカーの振り方も分からないし無理ですよ。」 「大丈夫、簡単だから。こことここを指で持って、こうして8の字に振るだけだよ。そして、これを早く振る。」 シャカシャカシャカ 「頑張って行って来てね!」 ポンっと背中を押されました。 私は凄く凄く、嫌でしたが仕事です、やるしかありません。 心を決めお客さんのテーブルに向かいました。 「カクテルお待たせ致しました。こちらの商品、ここでお作り致します。では始めさせて頂きます。」 シャカシャカシャカ 習った通りにやったつもりです。 ですが早くなればなるほど、8の字なんて無理でした。 最終的に只々、前後に一生懸命、振っただけでした。 きっと、早く終わりたい一心不乱に前後に振っていましたが、変な感じだったのでしょうか…… お客さんは皆、笑いを我慢しながら、もはや笑っていました。 私は顔が真っ赤になっている様な耳が熱くなった感覚がありました。 手先は器用な方ですが、リズム感は全くと言っていい程無くて、今後またこのカクテルの注文で笑われるのは嫌だなと思いすぎて、程なくして辞めてしまいました。 そんな赤っ恥のお話でした。
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