475人が本棚に入れています
本棚に追加
そうやって迎えた日のお昼休みに入ってすぐのことだった。
個人用のスマホへの着信にちょっとした胸騒ぎを感じた。
着信はなんてこともない母からのものだったが、母は私が仕事上、昼休みの時間が定まらないことを承知していて、昼間は滅多なことがない限り電話を寄こさない。
それに、お互いの安否確認や日常の会話は平日であればメッセージで済ますことがほとんどで、電話をするのはもっぱら休日だった。
「もしもしお母さん? 何かあったの?」
そんな母が昼間に電話をしてきたものだから、私は開口一番にそんな聞き方をしてしまった。
しかし、そのことでさえも母の予想できる範疇のものであったのだろう。
「仕事中にごめんね」と前置きをした後で、「”何か”ってわけでもないんだけど…望愛には知らせておいた方がいいと思って」と意味深に切り出した。
最初のコメントを投稿しよう!