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何だろうと思いながら慌ててデスクに駆け寄ろうとすると、代わりに室長が受話器を取ってくれた。 「ああ、彼女ならいるが…その方のお名前は?」 室長が私を見ながら話し始めるも、どうも歯切れも表情も芳しくない。 「…わかった。少しお待ちいただいてくれないか。彼女に事情を話すから。彼女が無理なら僕が対応する」 結局室長は最後にはそんな風に言って電話を切った。 「あの、室長…?」 「ロビーに君を尋ねてきてる男性がいるらしいだ」 「男性…? どなたですか?」 「それが、名前を聞いても"来てみてのお楽しみ"なんて言ってはぐらかして教えてくれないみたいなんだ」 「"来てみてのお楽しみ"って…」 「怪しい奴かもしれないから俺が行ってくるよ。君は祐子との昼食に行ってくれ」 室長は少し険しい顔をして言うと私の返事を待たずに秘書室を出て行こうとした。 でも…… 「室長! 待って下さい!」 振り返る室長に私は苦笑いを返すしかなかった。 「私が行きます。一人…思い当たる人がいるんです…」
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