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秘書室に戻る途中で後ろから私を呼び止める室長に出会った。
室長は「大丈夫だったか?」と私を心配そうな顔で覗き込んだ。
「気が気じゃなかったよ…」ともらした室長に、せっかくの祐子ちゃんとのお昼休憩に、そんなに心配をさせてしまって申し訳なかったと思い、謝罪した。
「やっぱり俺も向かおうと思ったんだけど、受付に連絡したら君の"身内"だって言うから遠慮した方がいいかと思って…。…それで、君の身内って?」
私の身内だと聞いてもまだ室長は安心しきれてないようだった。
「室長、随分前の話なんですが…私を本社へ呼んでくださった時…何度か会ったことのある…浅田雅也さんて、覚えてます?」
私を本社へ異動させる際に室長が何度か私の実家に足を運んでくれた時、たまたま居合わせた雅也君と室長は顔を合わせているのだ。
もっとも室長にとっては…悪い印象しかないと思うけれど。
「え? あ…ああ、あの…及川くんの異動に…酷く反対していた男性…かな?」
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