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「こんなに身近でハッピーオーラ放出され続けられてる私たちの置いてきぼり感といったらないわよぉ…」
理央は演技のように身体を崩してデスクに寄りかかった。
「理央、そんなに落ち込むことないでしょ…」
私が言うと横から奈美が私に耳打ちをした。
「理央、一生独身を宣言してた友達の結婚が決まったらしくて…嬉しい反面、ショックもあったみたいで…」
なるほど…
いつもの理央らしくないのはそういうことか…。
私が納得しかけると、俯いていた理央の顔が急に上を向いて私を見た。そして私に向かって何やら綱を引くようなジェスチャーをし始めた。
「…理央…何やってるの?」
驚いた私たちのうち、奈美が理央に尋ねた。
「望愛から幸せを分けてもらおうと思って、望愛の"幸せ"を引き寄せてるの」
真剣な顔をして何を言うかと思ったら…。
理央らしくない子供染みた仕草に私は奈美と一緒に顔を見合わせて思わず笑った。
もちろん、それができるならすごく嬉しい。
自分の幸せで誰かも幸せになれるなんてそんなに幸せなことはない。
「理央―――」と私が口を開きかけると、理央の方が先に言葉を繋げた。
「でも結局…その笑顔に癒されちゃってるんだから、無意識のうちに望愛には幸せ分けてもらってるのよね」
「そうね」と奈美も頷いた。
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