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私は大智という1人の他人と一緒に、繊細な繊細な生活を作り上げることは出来るのだろうか。それがいくら好きな人とは言っても。
ついついチョコレートの箱に手が伸びる。気づけば、チョコレートは残り最後の1粒となっていた。
チョコレートを気に入っていた大智のために、最後の1粒を残しておこう。
彼がチョコレートを手に取り、嬉しそうに頬張る様子が目の裏に浮かんだ。
これから先のことなんて、考えすぎることはない。
お菓子の箱の蓋を閉め、ゆっくり目を閉じた。
「ただいま~。」
いつもの声に安心感を覚える。
「おかえり。」
私たちの生活は時にチョコレートのように甘く、繊細で、最後のひとつを相手に食べてもらいたいという、思いやりの温度でじわりと温まるのだ。
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