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「ちょ!ちょちょちょちょっと待って!いきなり蹴ってくることないじゃないか!」
「誰だてめぇ…警察呼ぶぞ」
いつも通りの日常を過ごし家に帰ってきた西島。しかし、一人暮らしであるはずの自分の部屋になぜか見知らぬ男が鎮座しており、反射的に蹴りを入れたがひらりと躱されてしまった。
長い黒髪を無造作に伸ばした褐色の美丈夫はなぜか上半身裸で、彫刻のような肉体美を惜しげもなく晒している。
「まず話聞いてくれない?」
「どこに犯罪者の話聞く馬鹿がいる」
「警察呼んでもいいけど、キミがおかしい人扱いされるだけだと思うよ」
「あ?」
「ボクの姿はキミにしか見えないはずだからね」
(…こいつ…本気で頭おかしいやつだったか。いや今更だな)
警察を呼ぶ前にとっ捕まえようと、西島はもう一度男に跳びかかる。男は今度は避けなかった。しかし
「………は?」
西島の手は、なんと男の体をすり抜けてしまった。
「無駄だヨ。今の私はどんな攻撃もできない代わりにどんな攻撃も受けつけない」
「どこの涅マ○リだ」
ツッコミを入れつつもう一度捕まえようとするが、やはりすり抜けてしまう。
「な…」
「キミにはボクは触れないよ。諦めて話聞いてくれないかな?」
「………」
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