加地×西島編−1−

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「じゃあね、セイちゃん…。今日は…ほんとごめん…」 「い、いや…俺のほうこそ…」 「また…明日」 「お…おう…」 なんとか大学での一日を乗りきった西島は、校門の前で加地と別れた。 加地に背を向けて駅へと歩く西島の頭に浮かぶのは、スケベ神エレック。 (ぜってーアイツのせいだ…!ぜっっってーおかしい!) 今日一日、西島はあの後も偶然では片付けられないようなアクシデントに合い、何度も誰かの胸や股間や尻に顔から突っ込んだり、突っ込まれたりした。しかも、相手は全員男であった。 (何がラッキースケベだ!全っ然違うだろこれ!!) 完全にエレックが何かを間違えたのだと、西島は確信していた。 怒りのままにズンズンと進み、駅へと足を踏み入れる。そこにちょうどよく電車が来たが、中を見た西島は驚愕に目を見開いた。 (この時間に満員…!?嘘だろ…) いつもなら人が少ない時間帯であるはずが、珍しく満員だった。 今日の散々な出来事を思い出すと何か起きるのではないかと怖かったが、それよりも早く帰りたかった西島は、意を決して電車に乗り込んだ。 ドアの付近で手すりに捕まり、何も起きるなと願いながら電車の到着を待つ。 (早く着いてくれ…) 目を瞑り俯きながらそう願っていた西島だったが、その時 「っ!?」 不意に股間にグリグリと押し潰されるような刺激が走りビクリと体が跳ねる。目を開けると、なんと自分の股間に傘の尖端がめり込んでいた。 「っ!?!?」 顔を上げると、その傘は目の前の男性が持っているものだとわかった。男性は西島に背を向けており、気付いている様子はない。 (ふっざけんなっ!なんでこの満員電車で傘横持ちしてんだこいつ!) 「っ~…!」 電車の揺れで更にグリグリと股間が刺激されて、思わず声をあげそうになる。どうにか逃げられないかと身じろぐが、完全にすし詰め状態の電車は少しも動けるスペースはない。結局自分から傘に股間を押しつけている感じになり、自分で自分の首を絞めるだけに終わった。 (くっっっそ!これに関しては方向性が違いすぎるだろ!ラッキースケベでも何でもねぇっての!) 男性に声をかけようにも、今口を開けばおかしな声を出してしまいそうだった。それにここまで人が密集していると、声をかけたところで傘を動かすことも難しいだろう。 結局西島は、男性が降りるまでひたすら傘に股間を刺激され続けたのだった。
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