9人が本棚に入れています
本棚に追加
リアーナとウリエルは、イースポリットという街へ向かっていた。この街はもともと自由な気風で有名だったが、女性領主のヴァイオレット卿になってから、人間、亜人に関わらず等しく法が適用されるようになり、同性や異種族間の結婚も認められている。ヴァイオレット卿自身も女性の宮廷魔術師と結婚していた。
「ふぅ、今日は暑いわね」
リアーナは普段ローブを纏っているが、この日は天気が良く暖かかった。さらに、これから向かうのが治安が良く自由なイースポリットだったのも気の緩みにつながったのかもしれない。彼女はローブを脱いでウリエルに渡した。
「キュイ」
ウリエルの胸には異界に通じる隙間がある、そこに様々な物をしまっているのだ。ちなみに『異界』であって、決して『四次元』ではない。ウリエルの見た目がタヌキに近い柴犬なのも偶然だ。
リアーナはローブの下にノースリーブの服を着ていた。これでだいぶ涼しくなったし、日焼けは魔法で防ぐことができる。それなら魔法で涼しくすれば良いようなものだが、素肌に風を受けるのは気持ちが良い。
だが、この判断が大きな誤りだった。
最初のコメントを投稿しよう!