ペットボトルの水

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 しかし。  この数日降り続ける雨にはことごとく嫌気が差してくる。  雨が降れば、当然濡れる。  靴も、服も、髪も。  買い物に行くのにも大きな決断をしないと歩み出せない。  他人はどうだか知らないが、間違いなく私は無理だ。 「あぁ、早く止まないかな」  窓際に並べたテーブルと椅子。  そこに座って日中。天気が良ければ太陽の光を浴びながら飲む、グラス一杯の天然水。  太陽の光を浴びて、冷たい水が温くなるその瞬間が好きなのだ。  そこに感じる人の人生と時間、そして、太陽の光を浴び温くなる水から『生』への実感。 『私は生きているんだ』  そう心が叫んでいた。はずだ。
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