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とめられない。
待ち合わせのお店に入ると店員さんが、「お一人様ですか?」と聞いてきたので、「待ち合わせです」と答えた。わたしの手にはスマホが握られている。さっき、「もう店内にいるよ」とメッセージを送ってきた相手を探していると、
「小鳥〜!」
「まもちゃん!」
大きな柱の裏から、まもちゃんこと榊原まもるちゃんが手を振っている姿を見つけた。
「ごめんね、遅れちゃって」
「全然。私もさっき来たところだし」
彼女の正面のイスに座るわたしにまもちゃんは笑顔を向けてくれる。4人掛けのテーブルの、空いているイスにバックとコートを置いて、わたしは改めて座り直した。
まもちゃんはわたしの前にメニューを広げてくれる。
「何にする?」
「まもちゃんはもう決めた?」
「うん。ワンプレートにしようかなって。だって10食限定だよ?」
「えっ、嘘!わたしもそれにする。まだ残ってるかな?」
「さっき聞いた時にはまだあるって言ってた。じゃ、お店の人呼んじゃうよ?すいませ~ん」
わたしと違ってテキパキ、ハキハキ、チャキチャキしているまもちゃんはよく通る声で店員さんを呼んだ。
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