もしかしたら。

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そのままレジへ向かう彼を追いかけて、前に回り込む。 「あの、本当に、わたしの気持ちなので受け取ってください!」 後から冷静になって考えてみるといろいろ誤解を招く言葉だということがわかるのに、この時のわたしはいっぱいいっぱいだった。だからこそ、こんな大胆な行動ができたんだと思う。いつものわたしならできない。 だけど、だから、とても言葉を選んでいられなかった。神様にお願いするように両手を胸の前にして彼を見上げると、始めは遠慮していた彼も、「じゃあ」とだけ言って今度は少し大人の微笑みをわたしにくれた。 「お席までお持ちします!」 思わず上擦ってしまいそうになる声で言うと、彼はその微笑みを残すように席の方へ歩いて行った。 ――…キレイな後ろ姿だなぁ。 なんて、見惚れてる場合じゃなかった! 彼を待たせないようにと思い急いで中へ戻ると、店長がレジの所にいた。時計を見ると午後の売上を集計する時間だった。 無事、領収書を引き換えることができたとわたしが話そうとするより先に、店長が口を開いた。 「葉山さん、クレジットの控えに付けるレシート、これじゃないです」 「えっ!」 「経理に必要だから、こっちのレシートと一緒にホッチキスしてくださいって言いましたよね、前に。このやり方じゃないです」 レジの中にしまってあったレシートをわたしに見せながら説明してくれる店長。その口調は少し尖っていた。
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