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店長に見せられたレシートに印字されている時間帯を見ると、一日の中でも一番忙しい時間帯だった。レジに行列ができてしまうその時間帯はいつも決まって店長がレジに入る。だけど、わたしがレジを打つこともある。まだ慣れないわたしはつい焦って、小さなミスをしてしまう。
てゆーか、こんな小さなカフェでカード払いなんてしないでほしい!レシートはたくさん出てくるし通信に時間もかかるしサインもらわないといけないし、それだけも大変なのに間違えないようにというプレッシャーに襲われて、プレッシャーは膨らむしかない。
「すみませんでした」
「別にいいんですけど…。でも、文句言われるのはわたしなんで。お願いしますね」
「はい、すみません」
売り上げが悪かったのか、それともわたしのミスが原因なのか。店長はどこか機嫌が悪いみたいだ。
仕方がないとは言え、一度機嫌を損ねてしまうとしばらく店長はこんな感じだ。まるでハリネズミ。可愛いのに触ると痛い。だから、わたしは次の行動をためらってしまうことが多い。
――…わたしの次の行動が店長の気に障ったらどうしよう、と。
そんな風にわたしが体を萎縮させていると、
「すみません」
レジの前にさっきの彼が、まるで今、店内に入ってきましたという顔をしながら立っていた。
しまった。いつまで待ってもアイスコーヒーがこないから忘れられたと思われたのかもしれない!
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