とめられない。

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まもちゃんとは大学時代からの友だちで卒業してからもこうして時々、お互いの休みが合う日に会っている。わたしが唯一、心を打ち明けることのできる存在だ。 「今日、先生は?」 「あ、うん、部活。サッカーはこれから忙しくなる時期だからね」 そう答えたまもちゃんは、水の入ったグラスを口に運んだ。その薬指には銀色の指輪が光っている。それを瞳の真ん中に捉えながらわたしは、「随分なじんできたな」とまもちゃんには内緒で呟いた。もちろん心の中で。 まもちゃんは大学卒業とほぼ時を同じくして結婚をした。相手は高校の先生。あ、ちょっと間違えた。まもちゃんの高校時代の先生、だった。 まもちゃん自身も教員免許を取得していて、今は非常勤講師として旦那さんとは別の高校の先生をしている。 まもちゃんはわたしと出会った頃からずっと旦那さんのことを「先生」と呼んでいたので、つられてわたしもつい旦那さんのことを「先生」と呼んでいた。わたしの先生でも何でもないのに。まもちゃんもさすがに結婚してからはちゃんと名前で呼んでるみたいだけど、わたしと二人でいる時は「先生」に戻るみたい。 「まもちゃんもこれから忙しくなるの?」 「まぁね〜、来月はマラソン大会もあるし。師走ってヤツだよ」 「先生も大変だね」 「若いってだけでいろいろ頭数に入れられちゃってさ。もう最悪!」 「とか何とか言って、やるからには本気でしょ?」 「当たり前でしょー。やるなら徹底的に!がうちの家訓ですから!」 こんなおしゃれなお店のランチタイムだということなんてお構いなしに腕まくりをしそうな勢いのまもちゃん。わたしは慌てて、「見せなくていいから」と周囲の視線を気にしてオロオロしてしまう。
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