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「あのね、その、カフェによく来るお客さんでね。その、ちょっと、あるキッカケで仲良く…とまではいかないけど、その、顔見知りになって。で、こう、時々挨拶って言うか会話って言うか、その、するようになって…」
「で?」
「その、この間、閉店間際に来てくれて。で、ちょうどお店の看板とかしまうためにわたしが外にいて。ちょっと話してたら…」
「話してたら?」
「…なんか、こう、そういうことに、、、」
「なんか大事な部分が抜けてるんですけど」
「だって覚えてないんだもん~、、、」
「覚えてないって、なんで?!子どもかっ!」
「だってだってだって!ものすっごく緊張してたんだもん!顔見て話せないんだもん!なのに、なんかこう…いつの間にかそういうことになってたんだもん!」
「そんな夢みたいな話があるかーっ!」
「あるんだも~~~ん!」
と、ここで注文したワンプレートランチが運ばれてきた。
3×3で全部で9つに区切られたワンプレートに、お野菜のテリーヌ、エビとキャベツのマリネ、カニクリームコロッケ、ラタテューユ、キッシュが一口サイズで丁寧に並べられていた。一応メインは子羊のお肉と鮮魚のフライ、カレー風味らしい。
せっかくの豪華ランチが目の前にあるのに、まもちゃんの目が怒っている。
――…うう、スイマセン。と、わたしは小さくなる。
だけど、本当のことだった。
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