柚季side

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今、なんて言った? 「別れてください」と言われることを覚悟してきた。 でも、目の前で頭を下げる彼から聞こえた言葉は… 「…別れないで…ください?」 そう繰り返せば 「うん、別れたくない。」 と苦しそうな顔の廉さんと目が合う。 「俺…今日…振ら、振られるのかと思って…」 「え!?なんで?どうしてそうなるの、振られるとしたら俺でしょう?」 「…だって、だって、!!」 予想外の言葉、見たこともないくらい動揺した廉さんの様子にもう意味が分からなくて、ゔぅっ…とみっともなくその場に泣き崩れた。 「柚季?雪で冷えるから、ここで座り込むのはやめよう。柚季さえいいなら、とりあえず俺の家に行こう?」 俺はうんうんと頷きながら、廉さんに支えられて彼のアパートに向かうことにした。 鼻を啜りながらも歩いてるうちにちょっとずつ冷静になってきた。 告白した時と同じように、いやあの時よりもさらに取り乱してしまった。恥ずかしい。 俺の腰に回す廉さんの腕が、いつもよりちょっと弱々しく感じる。 俺と別れたくないって言ってたよね。 俺の都合のいい幻聴とかじゃないよね? すごい愛されてると誤解してしまうような。 誤解していいのかな。 というより、俺こそ誤解されてる。 廉さんの帰りを待つことも、料理のレパートリーもすべて俺がしたくてしてること。 負担に思ったことなんて一度もない。 廉さんこそ、俺より仕事の終わりが遅いのに、会いにきてくれたり、ご飯や旅行に連れてってくれて嬉しかった。 廉さんが嫉妬深くて重い? 余裕がなくてカッコ悪い? それ俺のことだよね? 俺ばっかり好きで、俺ばっかり空回りって。 俺のことずっと考えてくれてたのだろうか。 あんな廉さん初めて見た。 あぁ、今度は一気に顔が熱くなる。
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