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アメリさんの誘導でカイルはあわてて私の手を取るとエスコートを始めた。二人のやり取りに緊張がほぐれ、私も転ばないようゆっくりと結婚式の会場であるお庭に歩いていく。
「お庭に到着しましたから、ドアを開けますね」
アメリさんと待っていたブルーノさんが、同時にお庭に続く扉を開けてくれた。
(うわあ! ブルーノさんすごい!)
そこには、私が予想していた以上に、素敵に飾られた景色が広がっていた。
目の前に広がっているのは、お花でいっぱいの会場だ。私の名前が花の名前なこと、ドレスもサイラの花を意識したこと。それを聞いたブルーノさんがテーブルにも色とりどりの花で飾ってくれていた。
「ブルーノさん! すごい素敵です! ありがとうございます!」
「こちらこそそんなに喜んでもらえて嬉しいです。でも特別思い入れがあるのは、祭壇です。さあ、どうぞ。司教様がお待ちですよ」
(祭壇が特別……?)
カイルはもう知っているらしい。ブルーノさんと笑顔で目配せすると、きょとんとする私をエスコートしていく。会場にはたくさんの人が来ていた。カイルの両親や騎士団のみなさん。師匠が教会全体に結界を張ってくれたので、特別にアルフレッド陛下まで来てくれていた。
そして歩いていく先には、大好きな司教様。うっすら涙を浮かべて私のドレス姿を見つめている。そしてブルーノさんが言っていた祭壇は、一番大きなサイラの木の下に作ってあって、私たちがそこで誓い合うようにしてくれていた。
「これって……」
「ああ、プロポーズした時の再現をしたくてな、ブルーノと考えたんだ」
私の名前であるサクラとそっくりのサイラの木。満開に花が咲きほこり、ひらひらと風に乗って花びらが舞っている。
(うう……始まったばかりなのに泣きそう!)
「カイル、ありがとう。本当に嬉しい」
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