02 聖女は再び召喚される

3/6
前へ
/185ページ
次へ
「いいんです! 私は真剣にやってたので気づきませんでしたが、知らない人が見たら変ですよね。特にあんな女好きの師匠じゃ、危ない関係だと思われてもしかたがないです!」 (本当に師匠ったら! 後であなたのせいだって、文句言ってやるんだから!)  にっこり笑ってそう言うと、騎士は意外なほど優しい顔で笑った。 「弟子にまでそう思われているとは……ふっ」 「そりゃあ、思いますよ。あの人は異常な女好きです!」 「はは。笑わせないでくれ」 (あの時初めて、彼の顔をじっくり見たんだっけ。またあの笑顔が見たいな……)  青みがかった黒髪。鼻筋がスッととおった端正な顔立ちに、深い藍色の瞳。少しつり上がったキツめの目が、私に笑いかける時だけ、ふにゃりと柔らかくなった。 「改めて自己紹介をさせてくれ。聖騎士のカイル・ラドニーだ」 「初めまして、えっと、聖女のサクラです」 「良い名前だ」  あれから私たちは一緒に浄化の旅をすることになり、少しずつ打ち解けていった。誰よりも真面目で、少々堅物なところがあるくらいのカイルに、私はどんどん惹かれていった。  しかも幸運なことに、カイルも同じ気持ちでいてくれたのだ。旅の終わりが近づき、瘴気が出ている最後の町に着いた日の夜。二人で街の宝石店に行き、お互いの聖魔力を込めたネックレスを交換した。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

377人が本棚に入れています
本棚に追加