03 忘れられた聖女

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 彼らはカイルと同じように、突然現れた私を睨んでいる。私が聖女だと気づき、助けてくれる人はやっぱり出てこなかった。 「おい! キョロキョロするな! 誰か仲間がいるのか? 答えろ!」  何も話さず挙動不審な私に苛ついたのか、カイルはいっそう乱暴な口調で問いただす。押し当てられている剣の刃も、力が込もっているのかカタカタと震えていた。  それでも話そうとすると喉が焼けるように痛くなるから、話すことができない。そのうえ私が聖女だと証明してくれる人もいないのだ。 (どうしよう! どうすれば、私が聖女だってわかってもらえるの?)  私を刺し貫くのではないかと思うくらい睨みつけるカイルの姿に、ここには私を助けてくれる人がいないのだと感じ始めた時。私を囲む人だかりの奥から、一人の女性の声が聞こえてきた。 「カイル、その者は危険だわ。わたくしには、わかるの。だってこの部屋に突然現れたのよ? みなさんも見ていたでしょう?」  私を囲む人だかりの奥から、一人の女性の声がした。この声は聞いたことがある。たしか、この人は……。 「アンジェラ王女! 近づいてはなりません!」 「あら、大丈夫よ、カイル。だって婚約者のあなたが、守ってくれるのでしょう?」 (婚約者? 今、カイルのこと、婚約者って言った……?)
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