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(とにかく犯罪者だけは避けたい。私が聖女だとわかったら、教会に連れて行ってもらえないかな……)
カイルがアンジェラ王女と婚約しているというのはすごく気になる。この一年で何があったか知りたいし、そもそも信じたくない。だけど今はそんなことを言っている場合じゃないのだ。
ここは日本とは違う。王族が絶対の権力を持っていて、罪が大きければ即処刑だってある国だ。
(それに話せないのもおかしいよ。こうして黙っていれば何も痛くないのに、話そうとした時だけ痛みだすなんて……)
もしかして何かの魔術が私にかかっているのだろうか? それなら師匠に会えばなんとかなるかもしれない。この国にもたくさんの魔術師がいるけれど、そのトップにいるのが師匠のジャレドなのだ。
「持ってまいりました!」
ケリー補佐官が透き通った石で作られた「魔力検査板」を手にしている。一度目の召喚で、教会でも使ったことがあるから見覚えがあった。たしかあの板に手を当てると、魔力の性質によって色が変わり、また魔力量もわかるようになっていた。
(私は聖魔力だから虹色だったはず。教会の人もその色を見て、一目で聖女だってわかってくれたから、今回もこれでわかってもらえるよね)
「ここに手を置くんだ」
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