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「あら、これが報告にあったネックレスね。お互いの魔力を入れ合って持つなんて、あなたも気持ち悪いことさせるわね。本当にカイルがかわいそう」
ブチッと力任せに鎖を引っ張られ、ネックレスを盗られてしまった。
「うう! うううう!」
(それだけは盗られたくない! 返して!)
喉に激痛が走るとわかっていても、叫ばずにはいられなかった。この人は私からどこまで奪おうとするのか。しかしそんな些細な願いも叶えられず、王女はネックレスを床に落とし踏みつけた。
割れたチャームの小瓶から、カイルの聖魔力があふれ出す。そのキラキラした魔力は、この暗い湿った牢屋の空気に溶け込み、サラサラと消えていった。
「希望を持っているからいけないのよ。だから明日、私があなたを処刑してあげる。一番あなたが苦しむ方法でね」
そう言ってアンジェラ王女たちは、帰って行った。牢屋に残された私は、割れた小瓶をぼんやり見ている。
(もう疲れた……)
心の拠り所だったネックレスも壊され、ギリギリ保っていた自分の気持ちが、ポッキリと折れてしまった。勝手に大粒の涙がとめどなくあふれ、拭っても拭ってもきりがない。そのまま私は一睡もせず、朝を迎えた。
(まさか、カイルに突き落とされて死ぬとは思わなかったな。彼女も本当に残酷なことをするのね)
次の日の朝、突然騎士が私を牢屋から出して、馬車に乗せた。そして着いた先が、崖だったのだ。今日はここで私の処刑を行うという。
「ここは聖女の崖と言われてるの。私が処刑するには、とっても良い場所でしょう?」
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