06 得体の知れない声 カイルSIDE

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06 得体の知れない声 カイルSIDE

   それは新たに瘴気の穴が開いていることを、会議で報告している時だった。背後からいきなり、ドスンと何かが床に落ちたような鈍い音が部屋に響き、俺はすぐさま走り出した。 「おまえは誰だ! どうやってこの王宮に入ってきた!」  部下のケリーが声を荒げている。まさかこの王宮に侵入者か! 王宮内にはたくさんの騎士がいる。そのうえ魔力登録者しか、この部屋には入れないはずなのに。  俺はあわててケリーと場所を代わり、侵入者に剣を突きつけた。 「動くなと言っているだろう。顔を上げろ!」  見たところ、少年のように見える。シンプルな白いシャツに黒のトラウザーズだろうか。しかし侵入者にしては質が良いな。マントは付けていないが、魔術師かもしれない。すでに腕は縛ってあるが、気をつけなければ。 「グッ……ゲホッゲホッ」  なんだ? 武器も何も手にしていないうえに、さっきからずっと咳き込んでいる。しかし油断は禁物だ。俺はその侵入者が顔を上げるのを、じっと見つめていた。  そしてようやく、その男がそろそろと顔を上げた。違う。男ではない。女だ。艷やかな髪をひとつにまとめ、少し茶色がかった瞳が俺をじっと見つめている。一瞬見せたその表情は、俺に会えた喜びで溢れかえっていた。  その瞬間、ドクンと胸が跳ねた。 (なんだ? 今の感覚は……、もしかして魔術をかけられた?)
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