01 一度目の召喚

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「うう……ん。漫画では簡単そうだったのに」 「サクラ様、マンガとはなんでしょうか?」  不思議そうな顔で私に冷たいタオルを当ててくれているのは、「ブルーノ」さん。サラサラのブラウンの髪に蜂蜜色の瞳。私より五つ上の好青年で、オズマンド国での私の世話係だ。 「サクラ様の世界には、不思議なものがいっぱいありそうですねえ」  ニコニコとほほ笑みながら、私に栄養回復の薬を飲ませているのは、もう一人の世話係である「アメリ」さん。こちらもライトブラウンの髪を器用に結い上げ、クリっとした小さめの瞳が小動物を連想させる、二つ年下のかわいい女の子だ。  二人ともとても優しくて、私のことを尊敬してくれていた。 「二人にももう一度、会いたいな。ブルーノさんはアメリさんに告白したかな?」  本格的に浄化の旅に出た時は、二人も一緒だった。はたから見てると両思いだってわかるんだけど、当人同士はずっと教会暮らしなので、関係を変えるきっかけがつかめないみたいだったな。 「それに師匠は元気に、サボってるかしら?」  私はゴロリと寝返りを打ちながら、浄化のコツを教えてくれた「グータラ魔術師」のことを思い出す。名前はジャレド。嫌みのつもりで「師匠」と呼んでいたけれど、当の本人は全く意に介さず、私に一言アドバイスしたらすぐ寝てたっけ。 「よし! もう一度やってみるね」 「無理はしないでくださいね」
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