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二人に応援され、私はまた瘴気を体に取り込み始めた。この世界の人たちには瘴気が見える人がほとんどいない。時々、小さな子どもで見える子もいたけれど、大人になってもくっきり見えるのは、四人だけ。
聖女の私と、私に助けてほしいと言った司教様、あと聖魔力をもった騎士が一人と、師匠のジャレド。そう考えると、師匠は意外と有能?
「ん? またやるの? 頑張るね〜」
「もう! 師匠、ちゃんと教えてくださいよ」
「アドバイスはしたでしょ? あとは実践のみだよ」
プラチナブロンドの長髪を後ろで一つに束ねて、黒ずくめの衣装を着ているところは、漫画でよく見る魔術師のイメージそのままだ。そのうえ顔がいいものだから、よけい人を惑わすように見える。
「師匠はこの国の人なのに、危機感がないですよ?」
「はは。まあ僕はなぜか瘴気を取り込んでも、病気にならないから。ま、いいかなって」
「この仕事を引き受けたのも、お金ですもんね」
「そそ、君はがんばり屋だし、怒らない。良い生徒だね。ありがと」
それでも私が危ない目にあわないように、しっかりと取り込む瘴気量は把握しているようだった。昼寝はするけど、私が練習している時には絶対に側を離れない。ひょうひょうとした、掴みどころのない人だった。
「今頃、お金が貯まったから、女の人の家を渡り歩いてたりして」
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