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「ハハハ! もうダメ! サクラ、何回言っても信じてもらえなくて、不憫過ぎるだろ」
「だったら、師匠からこの人に言ってくださいよ。私が聖女だって!」
自分で言っといてなんだけど「私が聖女です!」と宣言するのは、むず痒くて言いにくい。しかも途中で師匠が体を起こしてしまったから、今までやった授業がパーだ。
腹が立った私は、問題の騎士をジロリと睨んだ。
「それで、なんの御用なんでしょうか?」
「……国からの瘴気浄化の要請の書状を持ってきた。しかし君が本物の聖女だとしても、とてもじゃないがやり遂げることはできないだろう。その旨、私から伝えておいてもいい」
「え?」
なんだか国からの書状というのも凄い情報だけど、その後に私のことを馬鹿にしたことを言ってなかった?
(なんなのこの騎士! 私がどれだけ毎日頑張って、浄化の練習してると思ってるのよ!)
「ちょっと来てください!」
「お、おい。いきなり何をする!」
「いいから、来て!」
強引に騎士の腕をつかみ、私はずんずんと練習場に入っていく。そこには司教様が革袋に集めた瘴気がたくさんあり、私はいつもこれで練習をしていた。
(その成果を見せてやるんだから!)
「そこで見ててくださいね!」
「……ああ」
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