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人間の体温
「見つけた……。
復旧したぞ!」
パソコンからふり向いて、佐々木は笑った。
「本当か⁉️」
「これで帰れるな!」
禁止されている残業をするハメになっていた仲間たちが、佐々木とパソコンの周りに集まった。
「ああ。
あとはもうワンクリックで……。」
佐々木が画面に指を伸ばした時、パッと画面が変わった。
「え!
まだ触れてないし!
だいたいこれ、なんの画面だ!
まさか振り出し⁉️」
パニックを起こした佐々木の顔の横で、申しわけなさげな声がした。
「すまねえ……。
原因は俺の鼻息らしい……。」
健康優良児、平熱37度の男、花田だった。
手には激辛ペペロンチーノを持っていた。
一同は黙り込み、花田は小さくなったが、すぐに誰かが言った。
「俺たちも食おうぜ!
腹が減っては戦はできぬってな!」
「そうだな!」
そして各自、自宅に帰宅が遅れる旨をラインしたのだった。
キレられた奴はいなかった。
ただ、『また花田さん? 笑』という返信が何件かあった。
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