19人が本棚に入れています
本棚に追加
第四話
夏休みを目前にした終業式の日。
貴之が顔に大きな湿布を貼って登校した。
その顔面を見ただけで、蘭と小波は全て察す。
「あ、ついに、クレカ使い込みバレた?お疲れ、貴之」
「意外ともったな。100万くらい使ったか?」
「大人になったら働いて返すからつけといて」
「俺もそれで」
机に珍味袋ポテチを10個パーティ開けして食べ比べしていた蘭と小波がハハハと笑った。
頬をヒクつかせた貴之が蘭の胸倉を掴んですごむ。
「お前らもうちょっと労われよ!殴られて禊した僕に優しくしてくれたのは京子だけか?!」
胸倉を掴まれた蘭がボソッと貴之に囁く。
「京子だけでいいくせに?」
パリッとワサビ塩辛ポテチをかじって、小波がニタリと笑った。
「えー初耳ですー貴之君ってそうだったんですか勝ち目薄ですー街でヤリチンクズやってるくせに京子様狙いとか何様ー」
「こいつ昔っから京子一筋でウゼぇ」
小波がプププとわざとらしく煽れば、貴之の殺意がこもった視線が飛ぶ。
「コレには理由があるんだよ!!」
「なんの話?」
メガネをくいっと上げて教室に入ってきた京子に、貴之は苦笑いした。
「京子ちゃん!貴之がね」
「小波ちゃぁん!お口チャック覚えよう!」
小波はポテチでベトベトの口を貴之に塞がれたので、貴之の手の平で油を拭いてやった。
最初のコメントを投稿しよう!