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終業式を終えて、夏休みに突入した。だが、小波たちは現実の問題の前に立たされる。
「やりたいことリスト」を遂行するための財源を失ったのだ。
下宿に集合して、日本家屋らしい畳の居間で蘭と貴之がゴロゴロしている。
京子は柱にもたれて文庫本片手に涼んでいて、それだけでそこはかとなくエロかった。
「夏休みしょーもなー」
「お金取られちゃったからね。クレカ禁止」
「そりゃあそうでしょ?最初からそんなことしちゃダメだよ?貴之?」
「僕、小波ちゃんの口縫いたい!」
小波はガハガハ品なく笑って、瓶ラムネをぐいっと喉に流し込んだ。
蘭がヨッと長い足を振り上げて起き上がった。
「でもこのやりたいことリスト遊びもう終わりだろ?金ないから」
「あら、残念だわ」
京子も文庫本を置いて、ちゃぶ台上のラムネの瓶を手に取って中のビー玉をしげしげと眺める。
ちゃぶ台周りに集まった3人に小波はハァと大げさにため息をついた。
「ハァ、みんな何言っちゃってんの?発想小学生以下か?」
「何だよ、お前たいがい煽りムカつくな。金使わねぇ遊びなんてツマンネェだろ」
「思考停止の老害と化した蘭には、まだ早いか?」
小波がフッと小馬鹿にする態度に、蘭はすぐ乗って来る。
「おっしお前、俺を楽しませてみろよ?!」
「バッカだなぁ蘭!一緒に楽しむからおもしろいの!」
小波はニッカリ笑って、天井にラムネを掲げた。
「お金がないなら、無しで遊べばいいじゃない!」
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