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地元民しか知らないミニビーチで、水着姿の小波が興奮して目をギラつかせた。
「私が最初に書いたやりたいことリスト案!海で遊ぶ!
やるぞー!京子ちゃん行こう!行こう!」
「ええ、行きましょう小波」
小波が浮き輪片手に、もちろん水着の京子の手を取って、海に一直線に走って行く。
小波と手を繋いで、京子もにこにこと笑顔を零れ落とす。
二人がいちゃいちゃ海に向かって行くのを、海パン姿の男二人でぼんやり見送った。
「ヤッバ……い、海最高……京子の水着ヤバい。海に永遠にいたい!!」
貴之が青空にガッツポーズを捧げる。
「みんなで海、何年振り!?小波ちゃんのやりたいことリスト遊び最高なんだけど!」
蘭が眉間に皺を寄せて腕を組む。貴之がテンション上げて訊ねるが反応が悪い。
「3年ぶりくらいか?」
「海遊びなんて小学生で卒業しちゃうからね」
カッコつけて耳に黒髪をかける貴之を、蘭がジトッと目を細めて睨む。
「はー?京子の胸、発育ヤバくてハズくて一緒に海行けなくなっただけのくせに。ヘタレがかっこつけてんなよ」
「中学生には刺激が強かったんだよ」
「刺激な」
蘭が腕を組んで身体ごと右に傾いていく。
蘭の視線の先では水面が輝く海で、小波と京子が水かけっこして遊んでいる。
「京子ちゃんの主張強い胸!胸びしょびしょにする!!」
「小波えっちね!」
「よいではないかー!!」
「ふふっアハハハやめて小波!」
二人がキャッキャうふふして遊んでいるのを男二人が浜辺からガン見である。
「貴之、あれ刺激ある?」
「超絶ヤバい。京子から可愛いの台風。まあ年上デカパイにしか反応しない蘭には刺激ないか」
貴之がフラフラ吸い寄せられて、京子の元へと足を進めていく。
蘭は何度も何度も首を傾げて、視界に入る小波を眺める。
夏の海の中で小波が笑うと、キラキラの刺激が強い。
「ペチャパイかわいく見えるの何だこれ、何バグ??」
蘭が首を傾け過ぎて砂浜に着地しそうになっていると、海の中から小波が叫ぶ。
「蘭ー!早くおいでー!あーそーぼー!」
小波の小学生みたいな誘い文句に、蘭はふっと笑いが漏れた。
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