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第二話
小波が勢いよく屋上の扉を開けると、屋上には同期3人がそろっていた。
全員が、口に煙草を咥えている。
「おい!!全員そろって喫煙ってどういうことだよ?!」
「小波も吸う?」
「いらないよ!」
スカートで地べたに座ってニコリと色っぽく笑うのは京子だ。メガネの奥の細目がエロい。ついでに胸もデカい。
こんなに品よくエロい京子はついつい煙草が似合うなんて思ってしまうのだが、法律的にアウトだ。
「小波も吸えよ、ほら」
ズカズカ遠慮なく小波の傍によってきた蘭は、自分が吸っていた煙草を小波の口に突っ込んだ。
「ゲッフゲフゲフフ!!ヒーーヒーーッ息詰まる死ぬわ!やめろ!クッサ!」
小波が煙草を吐き出して踏みつぶす。
貴之と蘭が小波の瀕死リアクションを見てゲラゲラ笑った。
「笑うなぁっ!」
煙草の煙が電線に区切られることのない広くて青い空に吸い込まれていく。
「なんでみんな煙草なんて吸うの?身体に悪いじゃん!」
特に蘭、短命のお前はやめろ!と小波は叫び出したいのをグッとこらえる。
何が死因に直結しているのか定かではない。
だが、煙草が未成年の身体に良くないことは明白だ。
美味しいものを食べるならわかるが、害悪で
わざわざダッシュで余命を縮ませにいくことはないだろ!
貴之は煙草を捨てて、足で踏みつぶした。
「ここに来たばっかの小波ちゃんにはわかんないだろうけど」
お綺麗な顔の貴之が小波の前に立って、綺麗にうすら寒く笑う。
今日も耳のピアスがバシバシで痛そうだ。
「ここって心底から退屈なんだよ。それだけ」
「そういうことだな」
「酒、タバコ、セックス、何かに酔ってないと生きていけないの。私たちは」
アンニュイな雰囲気を醸し出す16歳たちに、小波は目を細めた。
どうして美しい自然に囲まれた村で育った彼らがそんなにダークなのか。
村社会の闇を感じる小波であった。
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