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蘭は目を丸くしてから腰を曲げて、小波の顔を覗き込む。
「なんだよ、抱かせてくれんの?」
「バッカだなぁ、蘭!そんなことしか楽しいこと知らないの?」
小波がバカにしたムカつく顔をするので、蘭はカチンときた。
「じゃあ小波さんは何して遊んでくれんだよ?」
「ふふん。小波さんは徹夜でゲーム大会だぁあ!!」
小波は背中から、ズラリとゲームパッケージを取り出した。
「スプラに、スマブラ、はたまたマリオカートか?!この小波さんが!朝まで遊んでやんよ!」
ニタリとドヤ顔をつくる小波に、蘭は噴き出した。
「ニンテンドばっかりって、お前小学生かよ?!!」
「いやいやこれはどうやっても一晩かけるにふさわしいゲームで、
お好みならば夜通しRPGでも、
ええんやで?」
小波が渾身のシタリ顔を見せる。
「いや、ええんやで、じゃねぇよ。何やってもゲームじゃねぇか」
蘭が手をヒラヒラ振って玄関を出ようとする。小波はフッと勝ち誇った笑いを漏らした。
「そっか、ゲーム弱いんだね、蘭。わかる、わかるよ。
敵前逃亡は弱者の立派な戦略だもん。許すよ。
いってらっしゃい、お姉さんと負け犬の夜に」
煽り100%の小波の台詞に、蘭がギロリと睨みつける。
「やってやろうじゃねぇか。負けてほえ面かくなよ小波!!」
「この引きこもりゲーマー小波に勝てるかなぁ?!」
「めちゃくちゃ不名誉な二つ名持ってんじゃねぇよ」
ゲラゲラ笑いあった二人は、居間でゲームを始めた。
その夜、蘭はお姉さんのところに、行かなかった。
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