第三話

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蘭は目を丸くしてから腰を曲げて、小波の顔を覗き込む。 「なんだよ、抱かせてくれんの?」 「バッカだなぁ、蘭!そんなことしか楽しいこと知らないの?」 小波がバカにしたムカつく顔をするので、蘭はカチンときた。 「じゃあ小波さんは何して遊んでくれんだよ?」 「ふふん。小波さんは徹夜でゲーム大会だぁあ!!」 小波は背中から、ズラリとゲームパッケージを取り出した。 「スプラに、スマブラ、はたまたマリオカートか?!この小波さんが!朝まで遊んでやんよ!」 ニタリとドヤ顔をつくる小波に、蘭は噴き出した。 「ニンテンドばっかりって、お前小学生かよ?!!」 「いやいやこれはどうやっても一晩かけるにふさわしいゲームで、 お好みならば夜通しRPGでも、 ええんやで?」 小波が渾身のシタリ顔を見せる。 「いや、ええんやで、じゃねぇよ。何やってもゲームじゃねぇか」 蘭が手をヒラヒラ振って玄関を出ようとする。小波はフッと勝ち誇った笑いを漏らした。 「そっか、ゲーム弱いんだね、蘭。わかる、わかるよ。 敵前逃亡は弱者の立派な戦略だもん。許すよ。 いってらっしゃい、お姉さんと負け犬の夜に」 煽り100%の小波の台詞に、蘭がギロリと睨みつける。 「やってやろうじゃねぇか。負けてほえ面かくなよ小波!!」 「この引きこもりゲーマー小波に勝てるかなぁ?!」 「めちゃくちゃ不名誉な二つ名持ってんじゃねぇよ」 ゲラゲラ笑いあった二人は、居間でゲームを始めた。 その夜、蘭はお姉さんのところに、行かなかった。   
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