第一話

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第一話

人の余命を知って得することある? 断言しよう。 マジでない!!! だって、今日初めて出会った同級生があと「365日」で死んじゃうなんて、知りたいわけないじゃないか。 人の余命が見える「死神の目」を持って生まれた小波(こなみ)は、 初めて同期4人が顔を合わせた教室内で 1人の男子生徒を前に泣いていた。 これからこのド田舎、限界集落高校の たった4人の同期でウキウキ青春しようぜ! っていうのに、こいつ後〇日で死ぬのかって日々思うじゃん!?楽しめねぇよ! 平均寿命75歳オーバーのこの国で享年17歳って、なんで?! 「うっ…うぅうーーなんでぇーーー」 「は?これ俺が泣かせたのかよ?」 「たらし過ぎて僕でも引くレベルだよ?」 「あちこち女に手出し過ぎて、ヤリ捨てた元カノとかじゃないの?」 「俺、ペチャパイ抱かねぇから違うんだけど」 初めて4人で交わした会話は、小波のおかげでカオスを極めていた。 小波は涙を拭いて、首の後ろをかく金髪長身のヤンキー男子に問いただす。 立派なヤンキーにも小波は怯まない。 だってその余命より怖いものなんてない! 「持病は?!」 「は?」 「持病だよ持病ある?!」 「ね、ねぇよ」 「親族で早死にした人は?!ご両親は健在?!」 「元気なんじゃねぇの?」 「今回の山村留学生は、ちょっと頭がおかしい感じなのかな?」 小波はピアスバシバシのもう1人のお綺麗な顔した黒髪男子を睨みつける。 大事なことだろうが。 この金髪ヤンキー同期が病死か事故死か、 はたまた事件に巻き込まれ死かは考えるべきことだろうが! この黒髪ビジュアル爆発男が、余命がめちゃくちゃ長いからって調子乗ってんじゃねぇぞ!? ご長寿いいなぁ!!小波(こなみ)安心! 「うるさいな、このクソご長寿野郎が!」 「僕もう長寿決まってる感じ?ありがとう」 「ビジュ爆発で、ド健康体て、おまぁ!うらやましいなぁオイ!!おめでとう!私嬉しい!」 「え、僕責められてる?褒められてる??」 小波が涙目で黒髪の服を握ってがくがく揺らし始めたところで、担任の制止が入った。 小波の同期は、 余命365日の金髪ヤンキー(らん)、 黒髪クソご長寿の貴之(たかゆき)、 これまた平均寿命越えのメガネエロ美人、京子(きょうこ) というラインナップとなっていた。 蘭!! おい、どうしてくれんだよヤンキー蘭!? 365日しか生きないお前のせいで、私のハッピーハッピーな高校生活が暗転だよ! 頼むから長生きしろよぉおお!!   
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