2.女心

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皇帝陛下に戦勝報告をした後、私はなんと2日も床に臥せる事となった。初めての遠征に疲れが出たというのが医師の見解だ。 ――頑張りすぎ―― 殿下の言葉が脳裏によみがえる。しかし認めるわけにはいかない。ここで足を止めてはならない。私は出来る。どの皇子よりも――― ふと、部屋の外に人の気配を感じた。 「カーラー!!」 またしても聞き覚えのある、良く通るあの声だ。 「女性の部屋に勝手に入ってくるなんて…」 「女とか男とか関係ないんじゃなかったっけ??」 「……」 こんな時に都合よく私の言葉を使うとは呆れた。でも嫌ではない。話し相手も欲しかったし。 「何か用事ですか?」 「何か用事?!ずいぶんだな。見舞いに来てやったのに」 「見舞い?」 殿下がわざわざ私を見舞いに?よほど暇なのだろうか…そもそもなぜ臥せっている事を知っているのか。 「それは、ありがとうございます」 「敬語はやめてくれないか。幼馴染なのに」 「しかし殿下に対してそのような…」 「僕が許すと言ってるんだ」 殿下は外の従者に、何やら指示を出した。飲み物でも頼んだのだろう。 「それで、具合はどう?」 「もうすっかり。医師の手前、寝ているだけです。明日には外出できます」 「それは良かった」 他愛のない会話だ。殿下は何か用事があって来たのではないのだろうか。 「ねぇカーラー。あのさ、」 「??」 「カーラーってさ、」 「はい」 「えーと、好きな人とか、いるの?」 「は?」 何を急に言い出すのだろうか。私に好きな人がいるか?殿下はそんな事に興味があったのか。 「いません」 「いないの?本当に?」 「はい」 ははぁ、何だか読めてきた。さては、殿下はどなたかを私に勧めるつもりなのではないか。全くおせっかいな。 「カーラーにお願いがあるんだ」 「何でしょうか?」 そらきた。 「僕の恋人になってくれないか!?」 ほらきた……って?は?何ですって?? 「い…仰っている意味が……分からないのですが」
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