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皇帝陛下に戦勝報告をした後、私はなんと2日も床に臥せる事となった。初めての遠征に疲れが出たというのが医師の見解だ。
――頑張りすぎ――
殿下の言葉が脳裏によみがえる。しかし認めるわけにはいかない。ここで足を止めてはならない。私は出来る。どの皇子よりも―――
ふと、部屋の外に人の気配を感じた。
「カーラー!!」
またしても聞き覚えのある、良く通るあの声だ。
「女性の部屋に勝手に入ってくるなんて…」
「女とか男とか関係ないんじゃなかったっけ??」
「……」
こんな時に都合よく私の言葉を使うとは呆れた。でも嫌ではない。話し相手も欲しかったし。
「何か用事ですか?」
「何か用事?!ずいぶんだな。見舞いに来てやったのに」
「見舞い?」
殿下がわざわざ私を見舞いに?よほど暇なのだろうか…そもそもなぜ臥せっている事を知っているのか。
「それは、ありがとうございます」
「敬語はやめてくれないか。幼馴染なのに」
「しかし殿下に対してそのような…」
「僕が許すと言ってるんだ」
殿下は外の従者に、何やら指示を出した。飲み物でも頼んだのだろう。
「それで、具合はどう?」
「もうすっかり。医師の手前、寝ているだけです。明日には外出できます」
「それは良かった」
他愛のない会話だ。殿下は何か用事があって来たのではないのだろうか。
「ねぇカーラー。あのさ、」
「??」
「カーラーってさ、」
「はい」
「えーと、好きな人とか、いるの?」
「は?」
何を急に言い出すのだろうか。私に好きな人がいるか?殿下はそんな事に興味があったのか。
「いません」
「いないの?本当に?」
「はい」
ははぁ、何だか読めてきた。さては、殿下はどなたかを私に勧めるつもりなのではないか。全くおせっかいな。
「カーラーにお願いがあるんだ」
「何でしょうか?」
そらきた。
「僕の恋人になってくれないか!?」
ほらきた……って?は?何ですって??
「い…仰っている意味が……分からないのですが」
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