あさきゆめみし ゑひもせす

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 背丈の低い彼の後ろをついて歩くと、そこは見たこともない場所だった。長い間ここで働いているが、こんな場所があったことすら知らない。 「ここだよ」  上機嫌な少年に手を引かれるように案内された空間は無機質なコンピューターが幾つも並び、向かいにガラス張りの窓がある。窓の奥は暗く、こちらからはマジックミラーになっている様で、ガラスの向こう側は見えなかった。 室内は床も壁も白で統一されていて、そこには何故か主任が立っていた。 「な、何で?!」  僕の姿を見た主任は驚きの声を上げ、いつもの釣り上がった目を猫の様に丸くする。 「管理数値が異様に高いからねぇ。……お前には信頼を置いていたのに残念だよ」  少年は不敵な笑みを浮かべると、「なぁ……01635990?」と首を傾げる。 ──01635990?  その管理番号には聞き覚えがある。  確か昨日、夢の中で……。 「……マチ?」 「嘘……」  僕の問いかけに主任の声は消え、口をパクパクとだけ動かした。 「あーっ、そう言う事かぁ!」  ふたりの沈黙を破る様に笑った少年は、楽しそうにくつくつと笑う。いや、嘲笑う。 「君が彼を昇格させなかったのは、ただの我儘だったんだね?……悪い子だなぁ」  少年がそう言いながら白衣のポケットに手を突っ込むと、ひとつのボタンの様なものをひらひらと見せびらかす。 「それは……一体?」 「この01635990……いや、ポンコツAIがよく分かってると思うけど、丁度いいや。……その前に少し、この世界の話をしよう」 ──A……I? 「僕から説明してもらえる事を光栄に思って欲しいなぁ……リョウくん?」
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