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3
「ぷぅ、おはよッ」
「おはよー」
何事もなかった様に朝はやってきて、一日が始まる。
いつもの様に弥生と瑠奈が私の机に来て、チャイムが鳴るまで3人で話をする。
「これ、どう?」
瑠奈が手の甲を私と弥生の鼻先に持ってくる。
「あぁ、いいね。いいにおい‼︎」
「だよねー?」
ハンドクリーム難民の瑠奈がやっとお気に入りに出会えた様だ。
瑠奈の細くて長い指が目の前を通り過ぎていく。
指だけじゃなく、瑠奈はスラっと背が高く細い。鼻も高くて目も大きくて美人だ。
弥生がハンドクリームのパッケージを見ながら
「私たちもこれ買おうよー」
といって笑う。
いつも元気で明るい弥生。
小柄な彼女は当然顔も小さくて、自然にカールした長いまつ毛が目を引く。
「そうだね。私も使いたい」
「やったー。お揃いー。今日行ける?」
「うん」
「じゃ、帰り…あ」
チャイムが鳴り2人が席に戻る。
私は机に並べた両手を見ていた。
白くて太い、みっともない指だな…。
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