4#ようこそ、たまごの外の世界へ

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 俺は遂にたまごから外へ出てしまった。  これで、俺の引きこもり生活は終わった。  これから俺は外敵との洗礼を、もろに受ける事になる。  助けてくれーー!!俺をたまごから戻してくれ!!・・・って、たまごはもうパリパリに割れてもう中に入れなかった。  悔しくて、俺は泣いた。  ぴーぴーぴーぴーぴー!!  あれ?俺・・・鳥の雛?ん・・・もごっ!!  俺の嘴にミミズを押し込んだ奴が居る。  それは、俺の親鳥・・・俺がたまごから孵って初めて見た親鳥は、ハヤブサだ。  俺はハヤブサに転生したのだ。  自然界で頂点に君臨する猛禽類・・・引きこもりの時、パソコンでの知識を得てるんで一発で解った。  そう!俺は強い!もう気弱で誰にもいじめを受ける奴じゃあないんだ。  ばさっ!ばさっ!ばさっ!ばさっ!  親鳥は巣から去っていった。次の獲物を得る為に。  親鳥の翼の風圧の後、心地よい微風が俺を撫でていった。  引きこもりの時に感じなかった、このウットリとした感触・・・これが外の世界。  やがて目を開けるようになると、俺は辺りを見渡した。  そこには、ライバルの雛達。  この世界に生き残る為のサバイバル。  どうやらこの世界もシビアだろう。でも、雛達はお互い切磋琢磨している。  親鳥からもらう餌もお裾分け。  そして、やがて成長して飛ぶ練習をするにも一緒に飛ぶ為に助け合った。  仲間って、素晴らしい・・・  そして俺は、大きく逞しいこの翼をはためかせて上空を飛び、森や向こうに拡がる人間の街を散策している。  これが、外の自由な世界。  これが、外の楽しい世界。  この世界は、何処までも拡がっている。  前世は引きこもりだった俺。  今まで何で気付かなかったんだろ。  外から見下ろすこの世界の本当の素晴らしさに、俺は嬉し涙をながしている。  さよなら、引きこもりの俺。  ようこそ、外の自由な世界。    ~たまごの中身は転生引きこもり~  ~fin~
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