2#たまごの中に引きこもる俺

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 では、何故に俺は鳥の雛に転生したんだ?  俺は前世の記憶を思い出そうと試みた。  うっ!!  突然、脳裏から良からぬ前世の記憶がどんどんどんどん甦ってきた。  本当は思い出したくない事ばかりだ。  なのに、次から次へと俺の前世の黒歴史群が脳裏へ入り込んで来て止まらなくなった。  俺は・・・!!俺は・・・!!  俺って・・・いったいなんなんだ?!  前世の事を思い出そうとしなきゃよかった!!  学校で俺を執拗に虐げいじめてきた奴らの嘲笑う顔が、周りを囲んで迫ってきた。  それだけでない。  俺をあしらい、陰湿なパワハラをしかけて退職を促した会社の上司や荷担した同僚のほくそ笑む顔、  イビツな俺を下げずんで囃し立て、睨み付け白眼視する、通りすがりの人々の顔、顔、顔、顔・・・  そして何時も「産まなきゃ良かった」と溢し、腫れ物扱いする両親の顔・・・  俺を憎み、恨み、怒り、扱き下ろし、  俺という存在を社会から排除してきた奴らの顔という顔が一斉に、俺の方へ襲ってきた。   「バーカ!!」「死ね!!」「だっさ!!」「気持ち悪いんだよ!!」「近寄らないで!!バカが写る!!」「うはー!!マジウケるーーー!!」「このクソが!!」「ここからで出ていけ!!」「早くクビになればいいのに!!」「お前はクビだ!!」「お前の代わりは幾らでも居るんだよ!!」「お前なんかこの世から居なくなればいいんだよ!!」「お前アホか?」「この世から消えろ?」「お前何時死ぬの?」「さっさと●●しろ!!」「●●●!!」「✕✕✕!!」「●●●!!」「✕✕✕!!」「●●●!!」「✕✕✕!!」「▲▲▲!!」「✕✕✕!!」「▲▲▲!!」「●●●!!」「✕✕✕!!」  うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!  皆消えろ!!失せろ!!ここから消えてくれぇぇぇぇーーーー!!!!!!!  ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・  そうだ・・・そうなんだ・・・  俺が鳥の雛に転生したのは、前世に長年大の大人になっても自宅の部屋に引きこもって生きてきたからに違いない。  ずっと、誰にも関わりを持ちたくない。  もう、誰にも傷つけられなくない。  その一心で俺は1日中暗がりの部屋で、ネットに繋がったパソコンに向かってブツブツ言ってる毎日。  何時も差し入れる親からの食い物。ゴミ出しも部屋から出る事になるから部屋に溜まりまくり、部屋がゴミの山に覆われ、  いつの間に親からの何も食い物を寄越さなくなり、俺は空腹を癒すためにゴミを喰うようになり・・・糞尿も部屋の中・・・  そのうち俺は廃人になり・・・  もう嫌だ・・・もうここから本当に居たくない・・・生きたって無駄・・・  もういっそ・・・もうこのクソ人生終わりにしたい・・・  疲れた・・・自分に疲れた・・・  だるい・・・瞼が重い・・・  と思ったら・・・  嗚呼・・・たまごの中の鳥の雛に転生してしまうのは無理も無い。  いや、この俺にとって適材適所の転生先にに違いない。  じゃあ、一生たまごの中で過ごしてもいいって事なんだな。これからたまごの中で引きこもってようっと!!
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