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エピローグ
谷崎先生が亡くなり四十九日がとうに過ぎた頃、ノベルキングダムのサイトではすーこんの結果発表がされていた。私は結果発表のバナーをタップする。
下へ下へとどんどんスクロールしていき、最下段にたどり着いた。
私の作品は、掲示されていなかった。分かってはいたことだが、受賞には至らなかった。
「桜が散る、このワードから不合格、別れ、誰かとの死別などといった切ないストーリーを綴った方はもちろん多かったのですが、桜が散ることを新しい季節の始まりととらえポジティブな物語を描いた方の作品も見受けられました。どうしても似通った切り口の作品が多くなるお題ですが、その中でキャラクターの際立たせ方、構成の工夫、言葉を研ぎ澄ませた文章の洗練度が高い作品はしっかりと際立つ結果となっています。総じて非常にレベルの高い回で惜しくも落選となった作品の中にも面白いものがたくさんあり、稀に見る激戦の回だったことを申し添えておきます」
講評にはこのように記されていた。
「やっぱり、桜の回は嫌いだ」
私はそう呟いた。そしてその後、私は何故か笑っていた。
【終】
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