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プライドvs効率主義
見送りという選択を取るのを躊躇させているものは、私のチンケなプライドに他ならない。私は2年間、すーこんに作品を出し続けてきた。一回たりとも欠かすことなく、どんなにネタが尽きて苦しくても必ずアイディアを捻り出し、皆勤を貫いてきた。
納期までに作品出せないことは勝敗以前の問題である。アイディアを出し、構成を立て、自分なりのオリジナリティとアイデンティティを吹き込み、作品として仕上げて提出する。書店に並ぶ小説に自らのペンネームという名の爪痕を残したいのならばたとえどんなお題に対してであっても打ち返し、ここまで仕留められる引き出しと技量を持っていないといけない。これは自分が自分に対して課していたルールである。しかし、そのルールが、商業作家ならできて当たり前であろうルールを守れないかもしれない自分が今ここにいるのだ。賞金を得たり、名前が売れたり、商業出版の本に私の作品が載ったり……もしかしたら1本の作品に集中する方が圧倒的に期待値は高いのかもしれない。ましてや激戦間違いなしのお題である桜の回など、回避してしまった方が自分自身のエネルギーを温存できるかもしれない。しかし、私はそちらの選択肢をとる勇気を持ち合わせていないのだ。
桜は、多くの人にとって書きたい心をくすぐられるお題。しかし桜は、私にとっては葛藤と焦りでstruggleなお題。プライドと効率の板挟みのど真ん中に私を放り投げるお題。
これだから桜は嫌いだ。
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