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朝。
タバサは枕代わりにしていたステラの胸から顔をあげた。弾力のある豊満な胸は枕代わりにちょうどいい。
全裸というのは気に入らないけど。
タバサはひよこ模様のパジャマを着ていた。一旦裸にしたタバサにステラが着せてくれたのだろう。だったら自分も着ろと思うけど。
今日はダバサが朝食を作る日だ。
パジャマのままエプロンを身につける。この小さな家でステラと暮らすようになってから、自堕落な生活がすっかり身に付いてしまった。
魔王を倒し冒険の旅は終わった。
だから少しゆっくりしたっていいだろう。
「サヨウナラ」と告げたら慌てふためく勇者以下の男達を捨てて、賢者タバサは女戦士ステラと森の小さな家で暮らしている。
目玉焼きを焼こう。
二つフライパンに落として、半熟過ぎず固まりすぎないタバサ好みの絶妙な加減のそれを皿に盛る。
ステラが起きてきた。全裸ではないけれど、シャツ一枚をはおったきりだから、豊満な胸の谷間どころかヘソまで見えてしまっている。昔ならシャツのボタンを閉めなさいというところだけど、自堕落な生活を実践中?なので言わない。
それでも朝食を作るときにエプロンだけはどうなのか?と思う。前はともかく後ろから丸見えなのだけど。
ちなみにタバサには胸の谷間も凹凸も張り出たヒップもない。子供では無い。これでも齢三百歳を超えたエルフだ。
向かいあって小さな食卓に腰掛ける。白い皿の目玉焼きは我ながら今日も絶品の焼き加減だ。ちょんと箸の先で黄身に穴をあけてから、醤油をひとたらしする。これぐらいの薄味がほかほかのご飯にあう。
タバサといえばどろりとしたソースを目玉焼きにかけているのに、密かにタバサは眉をよせる。黄身が流れるのも気にせずに半分に割って、大盛りにしてやったどんぶり茶碗にのせて、豪快にかきこんでいる。今日も朝から四杯目飯を食らうつもりか?
「あいつらなにしてるんだろうね?」
あいつらとは残してきた馬鹿男どものことだ。「さあ、知らない」とタバサは答える。
明日の朝食はステラのスクランブルエッグにパンだろう。ケチャップ味のエッグをパンにのせるのは悪くないけど、タバサはやはり目玉焼きに醤油にご飯がいい。
「ねぇ、わたしたちなにもかも正反対なのに、なんで一緒にいるのかしら?」
「そりゃ身体の相性だろう」
「そうね」
なにもかも正反対だから合うのかもしれない。
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