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「ああ、あれは警邏隊の人間を装って聖女サマと逢うのは最後ですよって意味です」 「えええええ……」 「実際あの後はもう騎士勤めとしての俺しか見てないでしょう? それとも警邏隊の方が聖女サマはお好きですか? そっちがいいなら今すぐ辞職して警邏隊に再就職してか」 「しなくていいです!」  つい被せ気味に突っ込んでしまった。軽口の様でありながら目の奥が真剣すぎたのだから仕方が無い。  なんだかいつもより疲れる、とセレスは大きく息を吐く。シークはそんなセレスに軽そうに見えてとんでもなく威力のある言葉を投げつけた。 「ところで聖女サマ」 「はい?」 「気付いてます?」 「なにがです?」 「三つ目のヤツ。突っ込みが入らないって事は、肯定って事で間違い無い?」  三つ目? とセレスは首を傾げる。三つ目とはなんぞや。そう考えて先程のシークの言葉を思い返す。  あ、と思わず声が漏れた。すると途端にシークの口角が上がっていく。セレスは慌てて首を横に振った。 「ちがっ! そうじゃなくて!!」 「今更でしょう聖女サマ。あと言いましたよね、貴女は裏表が無いって。バレバレですよ」 「ちがうったら! そんなのじゃなくて! っていうかものすごい自惚れた発言じゃないですか今の!」  貴女、俺の事が好きですよね? だなんて、自惚れも自惚れだ。勘違いだとしたら痛々しさの極み。残念なのは、これが勘違いでも自惚れでも無いという事だ。 「そりゃ自惚れもしますよ。聖女サマ、俺が来るといつも顰めっ面してましたけど、でもその前に一瞬だけ嬉しそうにしてたし」 「してません!」 「茶もくれるし」 「それはあなたにだけ特別ってわけではなくて、誰が相手でもそうしてます!」  ですよね、とくつくつと喉奥で笑うのは完全にからかっているからだ。これは怒っていいやつ、とセレスは素直に怒りを露わにする。 「だから、そうやって正直な反応する聖女サマが好きなんですって。で、聖女サマも少なからず俺の事は好いていてはくれたんじゃないですか? 俺がこれで縁が切れますよって言った時も、すげえ悲しそうな顔をしてたのは、あれはそういうのじゃ無いんです?」  ぐぬぬ、と唸り声さえ漏れそうで、セレスは唇を噛み締めるしかない。
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