ネックガード

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 星弥に初めて会ったのは、小学一年生のころだったと思う。他チームだったが、公式でもそれ以外でも試合数はそれなりにあったので、顔見知りになった。特別に仲がいいわけではなく、会ったらあいさつ程度。それが六年生まで続いた。  中学生では初めて同じチームになった。星弥の所属していたチームも俺が所属していたチームも小学生のチームしかなかったため、新たなクラブチームを探さなければならなかったためだ。それほど数も多くないので、同じチームになっても特に驚きはしなかった。  同じチームになっても、俺たちの間にほとんど会話はなかった。仲が悪いわけではない。むしろ俺から話しかけることはあったが、星弥の反応がイマイチだったので話しかけるのを止めたくらいだった。  仲が悪いわけではないが、最初はさすがに嫌われているのかもしれない、と思ったことはあった。だが、氷に乗ると地上よりは話しかけてくるので、そうではないらしいことがわかる。  ポジションとしては俺がディフェンス、星弥はフォワード。星弥はすばらしく上手い選手だったので、よく俺からパスを出したし、パスがくることもあった。  三年生になってようやく俺たちは距離を縮めることになる。それは練習試合のときのことだった。いつもは着替えるのが早い星弥だったが、その日は妙にもたついていた。普段なら俺もさっさと着替えてリンクに上がるのだが、たまたまトイレにこもっている間にチームメイトたちはほとんどいなくなっていた。
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