あの夏の後悔

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 それは、中一の夏休みに入る頃だった。  ある日突然、別れがやって来た。 「親の希望でさ、急に田舎に引っ越すことになったんだ」  隣の家に住む、幼なじみのショウちゃんが言いにくそうに私から目を逸らした。 「だって、夏祭りに一緒に行ってくれるって……」  夏祭りは毎年仲間とみんなで行った。だけど、勇気を出して今年は二人で行こうって誘ってみたら、ショウちゃんだって嬉しそうにOKしたのに。 「ごめん、急に決まったんだ」 「引っ越しちゃったら、戻ってこないの……?」 「たぶん。親が田舎暮らしが夢だったから。いい物件があったんだってさ」  そんな急なことなのに、ショウちゃんは簡単に受け入れちゃうの? 「そ、そんなのイヤだよ。ずっと隣にいて、当たり前みたいに一緒にいたのに……」 「オレだって寂しいけどさ。仕方がないよ、親が決めたんだ」  なんだかあっけらかんと言われて、私はとってもショックだった。  私たちはただの幼なじみだけど、小学校を卒業する辺りからお互いに意識し始めていたのは知っていた。  だけど、きちんと言葉にしたことは無かったかもしれない。   「私……ショウちゃんが好きなの……」  ドキドキしながら言葉にしたけど、まともにショウちゃんの顔を見ることが出来ずにうつむいた。 「オレだって、アスカとはもっと一緒にいたかったよ。ガキの頃から、ずっと仲良くしてくれてありがとな」    えっ……? 伝わらなかったの……?    顔を上げてショウちゃんの顔を見ると、困ったような表情をしていた。  そっか、誤魔化されたんだ…………。  ショックだった。    それからは、私はスネて自分から会いに行かず、ショウちゃんからも来てくれなくて会えなかった。  引っ越し先の住所さえ、伝えに来ることも無かった。  引越しの日、私は早い時間から出かけて見送らなかった。  だって、見送ったりしたら悲しくて泣いてしまう。  ショウちゃんは同じ気持ちじゃないのに…………。
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