短編集~プリズム 桜色へ会いに

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 ***  晴れていて歩きやすいからか、思ったよりも早く一周してしまった。  上から見るタワーがあるから、どうしようかと近くまで行ってみたけど、思ったよりも混雑していた。  行列は嫌いというほどではないけど、今晩はもっと高いところからこの街を見る予定だから、このまま帰ることにする。  名残惜しく、もう一度桜を見た。  また来たいと私は思った。  こんな綺麗な桜並木は、一度見たくらいで満足できるわけがない。  混雑の理由がよく分かる。  再訪を秘かに決めると敷地を出て、路面電車の停留所へと向かった。  桜を見た感動を少し味わっていたいから、このままホテルに行くつもり。  到着した路面電車に乗って、駅へと向かう。  これから二日間、この街の住民だと思うと嬉しくなる。  私は、桜の余韻とこれからの予定にわくわくしながら、さっきとは逆の景色を楽しんでいた。                                 おわり
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